この疑問に答えます。
本記事の内容:
- p2pとはどんなサービス?
- p2pのメリット・デメリット
- ソーシャルレンディング・クラウドファンディングとの違いは?
近年、フィンテックと呼ばれるITを活用して銀行などを介さない金融サービスが注目されています。
本記事ではフィンテックの一部であり、イギリスから開始されたp2pレンディングを紹介します。
p2pレンディングとは
p2pレンディングは、インターネットを通して、個人や企業の貸し手と借り手を結びつける新しい融資のシステムです。
クラウドファンディングをイメージするとわかりやすいかもしれません。
個人や中小企業がネット上で融資を呼びかけて、プロジェクトに賛同した個人または企業が資金を出し合って借り手を応援します。
クラウドファンディングではインターネット上に融資の相手となる貸し手と借り手をマッチングするサイトから、人気が集まれば集まるほど資金の確保がカンタン。
p2pレンディングの大きなポイントは、
資金を融資する一つのかたちであるにも関わらず、これまでの社会が常識としていた銀行や証券会社、投資会社といった金融機関や融資を得意とする企業に頼らない仕組み
だということです。
つまり、貸し手も借りても一個人同士、インターネットで結びついた関係であること、さらに
「p2p=Peer to Peer(対等の者同士)」
という英語からもわかるように、資金を提供する側とされる側が対等の立場でプロジェクトに参加すること、などが特徴的といえます。
仕組み
p2pレンディングのやりとりは基本的にインターネット上で完結されます。
専用のプラットフォームにプレイヤーと呼ばれる融資のマッチングを希望する人たちが集まります。
融資をしたい貸し手と融資を求めている借り手のニーズがお互いに合致したところでマッチングが成立。そのまま融資となって必要な借り手に資金が手渡されます。
p2pレンディングはコストが発生する融資の仕組みです。
- 貸し手側:基本的に費用などは発生しない
- 借り手側:貸し手に対して融資と年利に応じた利息が発生する。また、プラットフォームの運営者にも報酬として利用料を支払わなければならない
p2pレンディングの運営業者によっては、サービス利用料、口座管理手数料といった名前で主に借り手に請求しています。
プラットフォーム運営の役割
個人間で融資ができるp2pレンディングは、これまでの銀行からの融資と大きな違いがあります。
一般的な融資の流れを、
- 融資の審査
- 融資の判断
- 融資した後のプロジェクトの監視
という3つに大きく分けると、銀行の融資はすべて銀行主体で行っていて、もちろん借り手が返済不能となったデフォルトの責任も負っています。
一方、p2pレンディングでは、融資の審査は貸し手ではなくプラットフォームの運営者が行った後、
- 融資判断は実際に資金を提供する貸し手
- 融資後の監視は運営が行う
という、二重構造になっているのがポイントです。
ただし、万一借り手がデフォルトした場合は、融資の審査を行った運営側ではなく、あくまで融資を最終的に意思決定した貸し手が負うことになります。
つまり、プラットフォーム運営者は、借り手から徴収した手数料を運営費用として、融資の審査や債権の回収作業を行っているというわけです。
メリット・デメリット
ここからは、P2Pレンディングの持つメリットと、気をつけたいデメリットをわけて考えていきましょう。
メリット①:広く個人から資金を集められる
銀行とちがって、貸し手の判断次第では金融機関よりもまとまった資金の融資を受けられる可能性があります。
銀行では断られてしまった融資でも、世界をステージに貸し手を見つけられるため、ビジネスのアイデアを具体化できるチャンスが生まれます。
メリット②:運営業者が融資の審査を行う
貸し手に代わって運営者が借り手の返済能力を中心に信用情報を審査するため、単に個人間で貸し借りするより返済の可能性が高くなります。
また、融資後の借り手へのフォローや実際の債権回収も運営に任せられるので、貸し手は融資判断のみを行えば、個人間の融資を自動化できるようになります。
メリット③:スピーディーな融資
融資の受け付けから審査、融資の実行まで、P2Pレンディングにまつわる一連の手続きはすべてインターネットで実施されるため、銀行での融資よりスピーディーに完結します。
メリット④:高い金利が設定できる
貸し手は超低金利の銀行口座に預金しておくままより、高い金利で融資を行えます。
デメリット①:デフォルト(貸し倒れ)のリスクが高い
P2Pレンディングの大半は、融資審査は行われるものの担保や保証人の設定はなく、貸し手はデフォルトになるリスクがかなり高いといえます。
高利回りが期待できるものの、ハイリスクであり、万一デフォルトがあってもプラットフォーム運営側から優先して返済するルールが整っていないケースもあります。
デメリット②:情報不足のリスク
融資審査をプラットフォーム運営に任せるため、審査内容は他者に委ねる結果となります。
借り手の信用情報がどこまで正しいか、そもそも信頼できるのか、判断すべき情報が足りないため不透明な融資になる可能性が多くあります。
そもそも、借り手が詐欺目的で融資を申し込むおそれもなくせないのも大きな問題点です。
デメリット③:運営業者が閉鎖・倒産するリスク
借り手の問題と同様、融資を仲介するプラットフォームの運営そのものが突然閉鎖されたり、破綻したりするリスクをはらんでいます。
イギリスでは2011年、クオクルというプラットフォームが突然閉鎖されて融資が回収・返済されないといった事件も発生するなど、元本が保証されないリスクは常について回るサービスといえるでしょう。
ソーシャルレンディング・クラファンとの違い
ここからは、P2Pレンディング似たようなイメージで捉えられがちな、ソーシャルレンディングとクラウドファンディングとの比較をしてみましょう。
ソーシャルレンディングとの比較
ソーシャルレンディングは、個人から集めた資金をファンドという金融商品にまとめて、ソーシャルレンディング業者が主体的に融資先を選定。
実際に投資を行うのは運営業者という点が大きく異なります。
P2Pレンディングはあくまで個人と個人の融資をマッチングさせるというシンプルなシステム。
融資審査や債権回収には立ち入るものの、基本的にプラットフォームを提供するのが中心となっています。
[chat face=”nogatakar.png” name=”管理人” align=”right” border=”none” bg=”green” style=””]クラウドバンクやくれウドクレジットがそれにあたります。[/chat]クラウドファンディングとの比較
インターネット上で個人から資金を募るといったスタイルから、一番近いイメージを持たれるかもしれませんが、厳密には資金をやりとりする目的が違います。
P2Pレンディングは個人間で融資を実行し、設定した利率に基づいて利息という利益を目指して行うものです。
規模は違っても、銀行が厳しい審査で貸付を行っているように、融資であることに変わりはありません。
一方、クラウドファンディングは、プロジェクトを実現したいプレイヤーがインターネットで幅広く出資者を募集します。
資金を提供する側はコンセプトの実現可能性や魅力度をメインに判断して出資するため、融資というより応援するための寄付や募金といった性格が強いものですね。
[chat face=”nogatakar.png” name=”管理人” align=”right” border=”none” bg=”green” style=””]キャンプファイヤーなどが有名![/chat]
評判・口コミ
ここからは、P2Pレンディングの評判をTwitterからピックアップしてみます。
あとP2Pレンディング系の某ICOにそれなりにINしました🤭
— 三崎優太(Yuta Misaki) 元青汁王子 (@misakism13) March 19, 2018
インドでは、P2P レンディングは、消費者金融のようなセグメントとして位置づけられましたね。政府がこういう決定をしたことで、事業領域が明確になりましたね。素晴らしい。
— SHINJI KIMURA (@shinzizm2) September 26, 2017
世界のP2Pレンディングの取引量の3/4は中国。#thebundsummit
— Emi Yoshikawa 🌎 (@emy_wng) July 8, 2017
日本ではまだまだこれからといった感じですが、中国やインドなど海外ではP2Pレンディングが社会に占める位置はかなり高くなっているようです。
まとめ:P2Pレンディング
インターネット上で個人同士が融資をやりとりできる新しいスタイルであるP2Pレンディング。
今後日本でも事業資金やプロジェクトの実現のための費用を確保するなど、さまざまなかたちで社会に溶け込みそうです。
貸し倒れや詐欺といったリスクは心配であるものの、ソーシャルレンディングやクラウドファンディングとは目的が異なるので、うまく棲み分けられる日もやって来ると期待できますね。